|

まるでお祭り・でも政策わかりやすい〜 子ども記者、米大統領選を行く
(朝日新聞:2000年10月25日朝刊掲載)
※CEの記者が米国大統領選挙共和党大会(2000年7月)を取材
◆みんな自分の意見主張
まるでお祭りみたい。これが私たちの最初の印象だった。
共和党大会が開かれたフィラデルフィア(米ペンシルベニア州)は、街全体が党大会一色という雰囲気だった。中心会場となるファースト・ユニオンセンターは大会関係者しか入場が許されなかったが、少し離れた地区に、だれでも入場できるポリティカル・フェストというイベント会場も設置されていた。レジャー感覚で政治のことが学べる展示物やゲームなどがあり、全米から訪れた家族連れでにぎわっていた。
党大会の会場は、東京ディズニーランドのように広く、場内を電気自動車で移動した。警備はとても厳しく、入場の際にはすべての持ち物がX線で検査された。会場の中心にあるスタジアム型のドームには、巨大スクリーンが三つと、野球場より多い座席が並んでおり、天井は数千個の風船で埋まっていた。
会場には、共和党関係者やメディアの人々が世界中から集まっていた。ニュージャージー州代議員のダイアナ・レイン氏は「ブッシュ候補の教育政策を支持します。彼は『子どもたちの不在の政策を行うべきではない』と主張しているからです」と語る。
また、政治に対する「子どもの声」について質問すると、レイン氏は「社会に自分の意見を主張できない子どもたちの声も、政策のなかに反映することが必要です」と話す。
◆政策の弱点考えないと
それは具体的にどのような形で成し遂げられるのだろうか?
「移民の子どもたちの英語力がのびれば、より子どもたちの声が社会に届くようになる。彼らの語学力がのびるような環境作り目指して努力したい」と、かたわらにいたカリフォルニア州代議員のパット・クロス氏が続けた。
また、今回の取材では、ブッシュ候補の政策に対する全面的な賛成の声しか聞けなかったが、完ぺきな政策は存在しないと思う。共和党支持派も、ブッシュ候補の政策の弱点について考える必要があるのではないだろうか。
◆投票登録制疑問感じた
この取材を通して、日米の政治の相違点に興味を持った。まず、両国で大きく異なるのが、選挙のPRの方法。米国の選挙は、明るくお祭り騒ぎで、イベントなどを通してだれでもだれにでも候補者の政策が分かりやすく説明されていた。これだと選挙に行こうかな、という気持ちになりやすいし、現に国民の政治に対する関心が高いように感じた。
日本の選挙は、うるさい選挙カーが走り回ったり、買収などマイナスのイメージが先行したりしがち。街頭演説そのものは、候補者と直接触れ合う機会になるので良い点と考えてもいいが、政策の説明は難しく聞こえる。分かりにくい政策が、政治に関心を持てない国民が多い原因の一つかもしれない。
また米国では、投票をするためには国民に登録の義務があるという点も、日本とは大きく異なる。このような登録制をとると、移民が多いアメリカでは、投票率が下がる可能性があるので、あまり賛成できないと感じた。
選挙権の制度については、自動的に選挙権をえることができる日本の方が、投票率を上げるという点において効果的だと思うし、実際に日本と米国の投票率は、日本の方が高いのが現状だ。地方公務員のロン・ヤング氏(31)は、「米国ではだれでも選挙権を持っているが、実際に投票登録をする人が少ない。しかしアメリカは自由の国なので、投票するかどうかをきめるのも個人の自由だ」と話す。
政治に対する両国民の姿勢も異なるように思える。米国では、大人も子どもも政治に対して自分の意見をしっかり持っており、それをきちんと主張していた。「国民が大統領を自由に選べることが大事。支持している政治家が落選しても、政治に参加したプロセスが重要です」とダン・バーニー君(14)は話す。
政治に対して意見を述べるには、国民が政策の中身について理解していなければ難しい。効果的なPRと分かりやすい政策の説明があれば、どの国でも政治に対して興味を持つ人々は増えるのではないだろうか。
|